【Ver.2024】ファイルメーカーの使い方を覚えたいあなたの為のブログ-第十回「データを共有する機能」

2025年05月12日 12:00 PM

Claris FileMaker 2024


こちらは「ファイルメーカーの使い方を覚えたいあなたの為のブログ」をClaris FileMakerの 最新バージョン Ver.2024に合わせリニューアルしたブログです。

第10回は「データを共有する機能」ということで、以下2つをご紹介します。

  • データを共有するとは?
  • カスタムAppを共有してみよう!(Claris FileMaker Server)

このブログは以下のシリーズで連載しています。

■データを共有するとは?

カスタムAppをサーバーやクラウドにアップロードして、複数人がネットワークを介して同じカスタムAppに同時にアクセスできるようにすることです。
共有したカスタムAppは、iPad・iPhone・Webブラウザからもアクセスできます。
「外出先から社用携帯のiPhoneで営業日報を入力する」、「調査現場に訪問してその場でiPadを使って調査結果を入力する」、といったことができるので、情報のすれ違いやタイムロスを防ぐことができます。
カスタムAppを共有するためにはClaris FileMaker Server もしくはClaris FileMaker Cloudが必要です。

■カスタムAppを共有してみよう!

Claris FileMaker Server を利用したカスタムApp共有の手順をご紹介したいと思います。
今回ご紹介するのはWindowsでの手順ですが、Macの場合もほとんど変わりません。

【事前準備】

①Claris FileMaker Pro(以下FileMaker Pro)とClaris FileMaker Sever(以下FileMaker Server)のインストールをする

以下よりインストールをしてください。

FileMaker Pro/ FileMaker Sever の45日無料評価版


インストール方法や対応OSについては以下を参照してください。

Claris FileMaker Pro 2024 のインストール

Claris FileMaker Server インストールおよび構成ガイド

②Admin Consoleの準備

Admin Console とは、FileMaker Server の構成と管理、接続されたクライアントの管理、共有データベースのデータの操作、監視、および共有を行うことができる Web アプリケーションです。
(参照:Claris FileMaker Server ヘルプ FileMaker Server の概要)
Admin Consoleを使うことで、FileMaker ServerがインストールされたコンピュータはもちろんFileMaker Server にネットワーク接続された任意のコンピュータからでもFileMaker Serverを制御できます。

Web ブラウザを開いて以下のURLから表示してください。
http://[ホスト]/admin-console
※[ホスト] は FileMaker Server をプライマリとして実行しているマシンの IP アドレスまたはドメイン名です。これは、FileMaker Server のインストール時に記録したアドレスです。
※URLを指定した先で求められるAdmin Consoleログイン時のアカウント/パスワードは FileMaker Sever インストール時に設定したものを入力してください。

「データベース」を選択すると、現在サーバー上にアップロードされているファイルの一覧を見ることができます。
※すでに共有されている「FMServer_Sample」はFileMaker Serverが正しく動作しているか、テストするために用意されたカスタムAppです。

共有用カスタムApp の準備

ご自身のカスタムAppがある方はぜひそちらをご利用ください。
今回はStarter Appから新規作成したカスタムApp「コンテンツ管理」を使ってご説明します。
Claris FileMaker を起動し、「コンテンツ管理」を選択 > 「作成」を選択します。

◆ 共有用カスタムApp パスワードの設定

新規に作成した状態では[完全アクセス]のアカウントにパスワードが設定されておらず、
そのままだとFileMaker Serverにファイルをアップロードできないので、以下の手順でパスワードを設定します。

  • メニュー[ファイル]>[管理]>[セキュリティ]
  • 名前が「Admin」のアカウントを選択
  • <パスワードがありません>の右の鉛筆マークをクリック
  • 「パスワードの設定」ダイアログでパスワードを設定
  • 右下の「OK」をクリック

また、[完全アクセス] アクセス権セットを使用するゲストアカウントがある場合にもファイルをアップロードすることができません。
そのため、ご自身で作成されたカスタムAppに該当するアカウントがある場合は、[アクティブ] のチェックを外すか、アクセス権セットを [完全アクセス] 以外に設定してください。

◆ 共有用カスタムApp ファイルオプションの設定

完全アクセスアカウントのパスワードが [ファイルオプション] ダイアログボックスの [次のアカウントを使用してログイン:] オプションを使用するデータベースに保存されていてもファイルをアップロードすることができません。
ご自身で作成されたカスタムAppに該当する設定がされている場合は、[ファイルオプション]ダイアロ
ボックスの[次のアカウントを使用してログイン:]のチェックを外します。

  1. メニュー[ファイル]>[ファイルオプション]
  2. [次のアカウントを使用してログイン:]のチェックを外す
  3. 右下の「OK」をクリック

その他、アップロードする前のファイルの設定については以下を参照してください。

FileMaker Pro を使用したデータベースファイルのアップロード

【カスタムApp共有の手順】

それでは、カスタムAppを共有していきます。
共有するカスタムAppを閉じてからFileMaker Proを起動し、
[ファイル]>[共有設定]>[ホストにアップロード]
の順にクリックしていきます。

※ファイルを閉じずに「ホストにアップロード」を選択した場合、以下のダイアログが表示されます。ここで「OK」を選択するとファイルが閉じられます。

左上の「+」ボタンからホストを追加します。
「ホストのインターネットアドレス」と「お気に入りのホストの名前」を入力して「保存」をクリックします。
※「ホストのインターネットアドレス」には Admin Console を開く時と同じく、FileMaker Server をプライマリとして実行しているマシンの IP アドレスまたはドメイン名を設定してください。
※「お気に入りのホストの名前」は任意の名前を設定してください。

接続しようとすると、カスタムSSL証明書※がインストールされていない場合は
「接続は暗号化されていません」という旨のダイアログが出ます。今回はテスト使用ですので、「接続」をクリックしてください。

※カスタムSSL証明書とは?

証明機関が発行するSSL証明書のことです。
Admin Consoleの「構成」タブに「SSL証明書」という項目があります。
「証明書情報」を確認すると状態は「インストール済み証明書」となっています。この証明書はデフォルトでインストールされる証明書で、テスト用として提供されているものです。本番運用となりデータを保護する必要がある場合はカスタムSSL証明書が必要です。

するとまた、以下のような先程と違うダイアログが出ますが、「接続」をクリック。
場合によってはこのダイアログより先に『FileMaker Proでは「<ドメイン名>:5003」を認識不可』というダイアログが出ます。「接続」をクリックしてください。
これらのダイアログが出る理由はおそらく、ファイルのアップロードの際は強制的に暗号化通信に切り替わるためだと思います。

FileMaker ServerのAdmin Consoleの名前とパスワードを入力し、「サインイン」をクリックします。

左下の「参照」をクリックしてアップロードしたいカスタムAppを選択するか、ファイルをドラッグします。

右下の「アップロード」をクリックすれば、FileMaker Server上にカスタムAppがアップロードされ、共有されます。

FileMaker Server のAdmin Consoleを確認するとデータベースに「コンテンツ管理」が追加されていることが確認できました!

【共有したカスタムAppに接続してみよう】

◆ 準備

では、共有したカスタムAppに、FileMaker ProとiPhoneから接続したいと思います。
iPhoneで接続するためにClaris FileMaker Go(無料)をインストールしてください。

◆ FileMaker Proからの接続

まず、ホストにFileMaker Proで接続します。
[ファイル]>[ホスト]にカーソルを当てると先程追加したホストが表示されますので、クリックします。

共有されているカスタムAppが表示されますので、「コンテンツ管理」を選択し、「OK」をクリックしてください。

アカウント名とパスワードを入力して「サインイン」をクリックします。

共有されているカスタムAppの場合、利用しているサーバー名がカスタムApp名の横の()内に表示されます。

iPhoneでデータが共有されることを後程確認するため、レコードを一つ作成して下図のようにデータを入力します。

◆ FileMaker Goからの接続

続いてiPhoneから接続します。
FileMaker Go を開き、下部の「ホスト」タブをタップします。
FileMaker Proと同様、左上の「+」ボタンからホストを追加します。

ホストアドレスとホスト名を入力 > 保存

セキュリティ警告のダイアログが出るので「常に接続を許可」をタップします。

「コンテンツ管理」をタップし、アカウント名とパスワードを入力してサインインします。

FileMaker Proで入力したデータが確認できました。

この状態でFileMaker ServerのAdmin Consoleを確認すると、合計接続数「2」、FileMaker Pro「1」接続、FileMaker Go「1」接続と表示されていることが確認できます。

カスタムApp共有方法のご紹介は以上になります。

いかがでしたでしょうか?
カスタムAppを共有するとはどういうことなのか、なんとなくイメージはつきましたでしょうか?

次回は第11回「処理を自動化する機能」です。
最後までお読みいただきありがとうございました!