Claris FileMaker 2026 -[ RAG処理を実行 ] スクリプトステップに引数オプション追加!

2026年07月24日 10:00 AM

Claris FileMaker 2026


Claris FileMaker 2026 のRAG機能(Retrieval Augmented Generation:検索拡張生成)に関する新規機能は他ブログでもご紹介してきましたが、このブログでは新たに追加されたRAGによる検索の精度を上げる引数オプションについて、その内容と設定方法を解説します。

※RAG機能の基本的な使い方については、以下の過去記事をご参照ください。

※その他RAG関連の新機能は以下の過去記事をご参照ください。

1. 新機能でできるようになったこと:検索ごとに引数( 類似度しきい値・上位の結果数)の設定が可能に

[ RAG処理を実行 ] スクリプトステップの「プロンプトを送信」処理の設定で「引数」を設定することができるようになりました。設定できる引数は以下の2つです。

・類似度しきい値 (similarity_thresholdをJSON形式で指定)  
・上位の結果数(num_top_ranked_resultsをJSON形式で指定)  

登録した文書の種類によって検索ごとに上記の引数を設定できます。これにより、同じRAGスペースを利用していても、用途に応じて検索の挙動を調整できるようになりました。

2. 今までの問題点:サーバー全体での一律の設定

以前のバージョンでも「類似度しきい値」「上位の結果数」をFileMaker Server Admin ConsoleのAI設定 > RAG設定 > 詳細を表示 で設定することができました。

しかし、サーバーで公開しているカスタムAppすべて一律の設定のため、文書の種類によってこれらの値を柔軟に変える、ということはできませんでした。

3. 類似度しきい値( similarity_threshold )とは?

しきい値とは、採用する文書の関連度の下限を決める値です。

RAGでは、

1.           ユーザーの質問文をベクトル化
2.           RAGスペース内のチャンクもベクトル化
3.           ベクトル同士のコサイン類似度を計算し検索
4.           上位N件を取得
5.           取得した情報をコンテキストとして生成AIへ渡す
6.           LLMが回答を生成  

という処理を行っています。

コサイン類似度とは質問と文書がどれくらい意味的に近いかを表す数値のことです。しきい値以上のスコアを持つ文書だけが採用されるので数値が高いほど結果が少なくなりますがより関連性が高くなります。

関連性が高いものだけ採用したい場合しきい値を高くします。

この場合、AIが関係ない文書を参照しにくくなり回答根拠が明確になります。

しかし必要な文書まで除外され回答ができないケースが出る可能性もあります。

逆にとりこぼしを少なくしたい場合はしきい値を低くします。

こうすると候補を広く取得でき、表現ゆれに左右されにくく、回答できる確率が上がります。しかし同時に、関連性の低い文章が含まれてしまう可能性もあります。

例えば社内規定や契約書はしきい値を高く、FAQ検索や自由入力型の問い合わせなどはしきい値を低くするなどの使い分けが考えられます。

4. 上位の結果数( num_top_ranked_results )とは?

ベクトル検索によって取得された候補のうち、何件を最終的なコンテキストとして集約し、LLMに渡すかの件数です。

取得件数を少なくすると関連性の高い情報だけをAIへ渡せますが、必要な情報を取りこぼす可能性があります。

一方、取得件数を多くすると情報の取りこぼしは減りますが、関連性の低い情報が混ざりやすくなり、回答品質が低下する場合があります。こちらの場合も、社内ルール検索のように回答元が比較的限定される用途では少なめで設定するなどの使い分けが考えられます。

5. 設定方法 (引数をJSONで指定)

[ RAG処理を実行 ] スクリプトステップの「処理」で「プロンプトを送信」を選択し設定の歯車マークをクリック、「引数」をチェックすると「計算式の指定」ウインドウが開くのでJSON形式で指定をします。

 引数キー
類似度しきい値similarity_threshold-1 から 1
上位の結果数num_top_ranked_results1 から 100(整数)

下の図の例はJSONSetElement関数を使って、「類似度しきい値」を「0.7」、「上位の結果数」を「20」にした例です。

JSONSetElement関数の実行結果は以下のようなJSONになります。

この引数を設定しない場合はFileMaker Server Admin Consoleで設定した値が使われます。

6. 注意点

「類似度しきい値 ( similarity_threshold)」、「上位の結果数( num_top_ranked_results )」ともに値を大きくすれば良いわけではありません。

文書データの種類や質問内容に応じて最適値を検証することが重要です。

7. まとめ

FileMaker 2026では検索ごとにRAG設定を調整できるようになりました。これにより用途に応じた検索品質の最適化が可能になります。RAGの精度はAIモデルだけではなく、検索時にどのような情報を取得するかにも左右されます。

今回追加された引数は、その検索挙動を用途に応じて調整するための実践的な機能といえるでしょう。

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