ポータルとリスト形式での印刷の違いを知ろう(見積書の印刷)

2021年12月14日 12:12 PM

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Claris FileMaker のレイアウトでポータルは多く使われます。

ポータルの表示はとても便利ですが、いざポータルを使ったレイアウトを印刷しようとすると少しコツが必要です。

 

今回はそのポータルの印刷について見積書を例にご説明します。
まず、見積レイアウトを作成する場合、多くは見積書テーブルと見積明細テーブルで分けます。
見積書1に対して、見積明細は多(複数)で設定するためです。
ポータルの作り方はこちら

【FileMaker 19 Ver.】ファイルメーカーの使い方を覚えたいあなたの為のブログ「データを表示する画面を作成する機能」

 

画面上に表示する明細行の行数はポータル設定で指定ができます。

ポータル設定は、ポータルを作成時あるいはポータルの枠内をダブルクリックすると開きます。
ポータル設定の、「書式」の下にある「行数」に画面上に表示する行数を指定します。

 

同様にポータル設定で、「垂直スクロールを許可」にチェックをつけておけば、PCの画面上では明細行のポータルには、何行でも入力していくことができます。

 

ですが、いざ見積書を印刷するときには、紙面には限りがあります。
1ページに表示できない場合は次のページに印刷したいのですが・・・
印刷では、

ポータル設定で設定された行数しか印刷がされません。

つまり、12行しか設定されていない場合は、1行~12行まで印刷されますが、13行目以降は印刷されません。

 

明細行を絶対に1ページ(12行以内)に収めるという方法もありますが・・・
汎用的ではありませんので、2ページ目(13行以上)にかかる場合もちゃんと印刷されるように設定したいと思います。

 

方法としては2つの方法があります。

① ポータルではなくリスト形式で印刷する
② ポータル設定でページごとに最初の行を切り替えて印刷する

 

では1つずつ見てみましょう。

① リスト形式で印刷する

この時点ですでに「ポータル」ではなくなってしまいましたが・・・、
「見積明細」テーブルを元にしたリスト形式のレイアウトにします。


ボディになる明細行は、見積明細テーブルです。
それ以外のヘッダやフッタ(後部総計)は見積書テーブルなどから表示します。
印刷すると、1ページに表示できない行は2ページ目に改ページされて印刷されます。

この方法のメリットは、
開発にかかる工数が比較的少なくて済むという点と
複数の得意先を選択して一括で印刷する場合、得意先ごとに改ページの設定をしておくと印刷ジョブが1つで済むことです。
また小計パートを設定することができますので、請求書の請求明細などでは、納品伝票毎の小計を表示させることもできます。ポータルでは、小計パートがないので、納品伝票ごとの小計を表示したい場合、別途小計用のレコードを作成する必要があります。

反対に、この方法の注意点は、
明細の行数によってフッタ(小計や消費税、総計)の位置が変動します。
よって、下部に余白ができたり、2ページ目の開始が小計からになってしまうという場合もあります。
見栄えを気にされる場合にはこの方法はあまりおすすめできません。

 

 

続いて、ポータルのまま複数ページを印刷する場合の方法は、

② ポータル設定でページごとに最初の行を切り替えて印刷する

印刷時にポータル内の明細行の行範囲を設定することで印刷内容を切り替えます。
ここで詳細なスクリプトの説明は省きますが、古い記事になりますが、

 

ファイルメーカーの開発のヒント(初心者向け編)「ポータルを使ってみよう!(印刷編)」

で紹介していますのでよろしければどうぞ。

 

この方法のメリットは、
明細の行数に関わらずフッタの位置が固定され余白ができないので、見栄えがいい点です。

反対にこの方法の注意点は、
リスト形式の印刷より開発工数がかかる。
ページ数分の印刷ジョブができてしまうので、一括で複数の得意先の見積書を出したい(複数回改ページされる)場合は注意が必要です。うっかり大量印刷して、印刷ジョブがとんでもないことになり偶々同じタイミングで印刷をしてしまった不幸な人がギョッとする羽目になります。

 

など、どちらの方法もメリットデメリットがあります。

見積書や請求書などお客様にわたす書類は、会社のイメージに繋がりますので見栄えはとても大事です。
開発する際に、複数ページになった場合の表示方法の確認が重要です。

上記以外でも、例えば1ページ目はヘッダに相手先や自社名などを入れたいが2ページ目以降は明細の項目名から始めたい。小計や合計などのフッタ部分は最後のページにだけ表示したい。など、表示の仕方によって、リスト表示での開発がいいのか、ポータルでの開発がいいのかが変わります。

自身で開発する場合もですが、開発を依頼する場合にもこの辺りは抑えておいたほうが後々できたシステムを見て、「あれ?」ということにならないと思います。

Excelをベースに考えると、印刷の考え方が異なり後から改修となった場合大掛かりな修正になることもありますので、気をつけましょう。