Claris FileMaker Server 2026 新機能 第1回:スタンバイサーバーとは?
2026年06月12日 07:06 PM
Claris FileMaker 2026
突然ですが、こんな経験はありませんか?
朝イチで出社したら FileMaker Server が落ちていて社内がちょっとした騒ぎに…。
慌ててバックアップから戻そうとしたら「直近のデータがない…?」と冷や汗。
FileMaker Server を運用していると、こういう“もしも”の備えって、分かってはいるけど後回しになりがちですよね。
そんな悩みを解決してくれそうな機能が、Claris FileMaker Server 2026 にて追加されました。
その名も「スタンバイサーバー」です。
ひと言でいうと、
「もう1台の FileMaker Server を裏で同期させておいて、
いざというときにそっちへ切り替える仕組み」
です。
大規模システムではおなじみの冗長化構成が、FileMaker Server でも使えるようになったイメージですね。
これは試してみるしかない!
ということで、クラウド環境(AWS)に2台構成を組んで、実際にスイッチオーバーを試してみました。
本記事ではまず機能の概要・要件・料金をご紹介します。
構築手順やスイッチオーバーの検証は、第2回・第3回でレポート予定です。
こんな方におすすめ
- FileMaker Server が止まったとき、復旧までの時間を短くしたい
- 「バックアップは取ってある」けど本当に大丈夫か、自信がない
- 冗長化構成に興味はあるけど、何から始めればいいかわからない
こんな方にぜひ読んでいただけると嬉しいです。
スタンバイサーバーとは?
FileMaker Server 2026 の新機能を理解するために、まずは一般的なスタンバイサーバーについておさらいしていきましょう。
スタンバイサーバーとは、メインのサーバー(プライマリ)に障害が発生したときや、計画的なメンテナンスのときに切り替えられる「待機系サーバー」のことです。
普段は裏で待機していて、必要になったタイミングでサッと役割をバトンタッチします。
スタンバイ方式は3種類
スタンバイサーバーには、同期の頻度や切り替えの速さによって大きく3つの方式があります。
コールドスタンバイ
停止した状態で待機している方式です。
切り替えには起動+データ復元が必要なため、復旧までに時間がかかります。
スタンバイ構成の中で、ダウンタイムは長くなりますが、導入のコストを抑えることが可能です。
ウォームスタンバイ
起動した状態で、定期的にデータ同期を行う方式です。
切り替えには多少の時間がかかりますが、コールドスタンバイよりかなり早く復旧できます。
コストとスピードのバランスが良い、現実的に導入しやすい構成です。
ホットスタンバイ
リアルタイムで同期し、即座に切り替えられる方式です。
構築・運用コストは最も高くなりますが、ダウンタイムを最小限に抑えることができるためミッションクリティカルなシステムで使用される構成です。
表にまとめるとこのようになります。
| コールドスタンバイ | ウォームスタンバイ | ホットスタンバイ | |
| 待機状態 | 停止中 | 起動+定期同期 | 起動+リアルタイム同期 |
| 復旧速度 | 遅い | 中 | 速い |
| データロス | バックアップ時点まで戻る可能性あり | 同期のタイミングによって発生する可能性あり | 最小限に抑えやすい |
| コスト | 低 | 中 | 高 |
FileMaker Server 2026 はウォームスタンバイ
今回追加されたスタンバイサーバー機能は、分類としては「ウォームスタンバイ」にあたります。
具体的には、
- 5分間隔でプライマリサーバーからスタンバイサーバーへデータ同期
- 管理コンソールから手動でスイッチオーバー
という仕組みです。
ホットスタンバイではないのか、と少し思うところもあるかもしれませんが、
復旧までにかかる時間を数時間から数十分に短縮でき、データロスも防ぐことができるという点で、かなり価値があるのではないかなと思います。
続いて、スタンバイサーバー機能を使うための要件についても確認していきましょう。
利用要件
サーバー要件
スタンバイサーバーは、プライマリと同じOSで構成する必要があります。また、ドライブ構成とネットワーク設定もプライマリと一致させる必要があります。
対応OSは以下のとおりです。
| OS | バージョン |
| Windows Server | 2025 / 2022 |
| macOS | Sequoia 15 / Tahoe 26 |
| Ubuntu Linux | 22.04 LTS / 24.04 LTS |
ハードウェア要件(Windows / Linux)
公式の推奨スペックは以下のとおりです。
| 必須 | 推奨 | 最良 | |
| CPU | 4-Core | 8-Core | 16-Core |
| RAM | 8 GB以上 | 16 GB以上 | 32 GB以上 |
| ストレージ | 512 GB SSD以上 | 512 GB SSD以上 | 1 TB SSD以上 |
| ネットワーク | Gigabit Ethernet | Gigabit Ethernet | Gigabit Ethernet |
その他の要件
| 項目 | 要件 |
| PowerShell | 5.1 |
| OpenSSH | Windows Server: 8.1p1以上 / macOS: 9.6p1以上 / Ubuntu 22: 8.9p1以上 / Ubuntu 24: 9.6p1以上 |
| SSL証明書 | 両方のホスト名をカバーするSANまたはワイルドカード証明書 |
詳しくは Claris FileMaker 2026 動作環境をご確認ください。
OpenSSHはOSによって要件が異なります。特にWindows Serverはデフォルトのバージョンが要件を満たしていないケースがあるため、事前に確認が必要です。このあたりは、第2回の構築編で詳しく触れる予定です。
そして気になるお値段…!
ライセンス・料金
スタンバイサーバー機能は、 FileMaker Server のライセンス(StarterまたはMax)とは別のアドオンとして提供されます。
| アドオン名 | 料金 |
| Standby Server | ¥82,500(税込/年) |
詳しくは Claris 公式の価格ページをご確認ください。
本格的な冗長化構成は、ソフトウェア費用や構築費用を含めて、
どうしても初期費用が大きくなりがちです。
高度な冗長化機能は非常に魅力的ですが、
実際の運用を考えるとコストとのバランスも重要なポイントになります。
その点、FileMaker Server 2026 のスタンバイサーバーは、
復旧スピードと導入のしやすさのバランスが取れた、現実的な選択肢の一つといえるのではないでしょうか。
次回予告
次回は、実際にスタンバイサーバーを構築した手順を紹介します。
- 構成イメージ
- 実際の設定手順
- ハマりポイント
など、実体験ベースでまとめる予定です。
引き続きお楽しみに!
