Claris FileMaker Server 2026 の注目ポイントを運用者目線で整理
2026年06月10日 08:26 PM
Claris FileMaker 2026
Claris FileMaker Server 2026 のリリースされました!
どんな機能が追加されたか気になっている方は多いのではないでしょうか。
今回のアップデートは、Standby Server・AI 関連機能・管理機能など、サーバーまわりの変更点は
FileMaker を運用している方にとって見逃せない内容が盛りだくさんです。
この記事では FileMaker Server 2026 の注目機能を整理しながら、実際の運用という視点で掘り下げてみたいと思います。
それでは見ていきましょう!
新機能とは少し違いますが、FileMaker Server 2026 では見た目にもわかりやすい変化があります。
まず目につくのは、FileMaker Server のアイコンと Admin Console の色合いです。

アイコンは、従来の緑を含むデザインから、黒を基調としたシンプルなデザインへ変更されています。
それに合わせて、Admin Console のボタンなども青色をベースとした配色になっており、全体的にすっきりした印象になっています。
1. Standby Server
FileMaker Server 26 の注目機能として、まず取り上げたいのが Standby Server です。
FileMaker Server を長く運用していると、どうしても避けて通れないのが障害対応です。
障害対応の備えとして、バックアップを取得している環境は多いと思いますが実際に障害が発生した場合、バックアップがあるだけではすぐに業務を再開できるとは限りません。
FileMaker プラットフォームは、障害対応時は他のプラットフォームと比べると、割と復旧がしやすい部類に入るかと思います。しかし、別サーバーの準備、ファイルの復元、証明書の設定、ネットワークの切り替え、利用者への案内。
こうした作業を考えると、復旧には思った以上に時間がかかることがあります。
Standby Server は、この「復旧までの時間」を考えるうえで注目したい機能です。

実は、FileMaker Server 14 の頃にも「スタンバイサーバー」という機能が実装されていた時期があります。
当時の Standby Server も、Primary Server を置き換えるために待機させておく冗長用の仕組みでした。
ただし、すべての設定が自動的に引き継がれるわけではなく、一部の設定など、事前に Standby 側で準備しておく必要がある項目もありました。
今回の Standby Server は、その頃の機能と比べても、より実運用を意識した形に進化している印象です。特に、カスタム App だけでなく、Admin Console の設定まで含めて同期対象が広がっている点は注目したいポイントです。
もちろん、これだけで完全な自動フェイルオーバーが実現する、という話ではありません。
実際の運用では、DNS の切り替え、SSL 証明書、ネットワーク設計、クライアント側の接続先切り替え、バックアップ運用、監視との組み合わせも重要になります。
ただ、Standby Server とフェイルオーバー運用、クライアント側の切り替え対応などを組み合わせることで、障害発生時の復旧時間を短くできる可能性があります。
今後、別記事で内容を詳しく整理する予定です。
2.FileMaker Server Remote Backup
次に、 FileMaker Server Remote Backup です。
こちらも Standby Server と同様に、事業継続や災害復旧を考えるうえで重要な機能です。
お客様の環境を確認していると、FileMaker Server と同じサーバー内にのみバックアップを取得していたり、外付け HDD などにバックアップを保存していたりするケースもございます。
もちろん環境や、運用体制を考えると、そうせざるを得ないケースもあります。そういった中で弊社でも、より安全に FileMaker Server を運用するためには、バックアップを「どこに保存するか」は常に悩ましいテーマです。
バックアップを考えるうえで「どこに保存されているか」「いつまでデータを戻せるようにしておくか」「どの程度データの消失を許容するか」等というようなことを考慮することが重要です。
Remote Backupは、こうした課題に対するひとつの選択肢になりそうです。

簡単にお伝えすると、FileMaker Server のバックアップをリモート側の保存先に取得できる機能です。一定の間隔で変更分を反映していくことで、サーバー本体やローカル環境に障害が発生した場合でも、より安全にデータを保護しやすくなります。バックアップの保存先をサーバー本体から分離できる点は大きなメリットです。
なお、Standby Server、 Remote Backup ともに別途ライセンス契約が必要になります。準備ができ次第こちらも検証を行いたいと思います。
3. RAG
2025でリリースされたRAG機能も、 FileMaker Server 2026 ではさらに強化されています。
弊社でも一部でRAG機能を活用していましたが、これまでの課題のひとつは、1チャンクに含められる情報量が限られていたことでした。そのため、RAGに追加するデータは、あらかじめ内容や分量を意識して調整しておく必要がありました。
FileMaker Server 2026 では、チャンクサイズを最大512トークンまで指定できるようになり、より長い文章を前後の文脈を保ったまま扱いやすくなっています。これにより、マニュアルや問い合わせ履歴、技術資料のように、ある程度まとまった説明文を扱うケースでも、回答生成時に必要な文脈を拾いやすくなることが期待できます。

また、コサイン類似度のしきい値を設定できるようになった点も大きな改善です。RAG実行時に、どの程度関連性の高い情報を参照対象とするかを制御できるため、無関係な情報を拾いにくくしたり、逆に広めに候補を取得したりといった調整がしやすくなりました。
さらに、縦書きPDFにも対応したことで、これまで扱いにくかった文書をRAGの対象にしやすくなっています。日本語の業務文書では縦書きの資料も少なくないため、活用できる場面は広がったのではないでしょうか。
運用面では、AIサービスに送られたリクエストについて、どのユーザーから、どのエンドポイントへアクセスがあったのかを Admin Console のAIサービスタブ上で確認できるようになりました。2025までは、トラブル発生時にログファイルを探して確認する必要がありましたが、管理画面上で状況を確認できるようになったことは、開発面でもうれしいポイントではないでしょうか。
4. ODataのメタデータ
次に注目したいのが、OData まわりのメタデータです。
メタデータと聞くと、少し地味な情報に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、AI エージェントや外部連携の観点では、非常に価値のある情報です。
カスタムApp のデータを扱うための MCP サーバーを自作しています。
その中で感じたのは、AI に FileMaker のデータを扱わせる場合、単にテーブル名やフィールド名がわかるだけでは
不十分なケースがあるということです。カスタム App がどのような DB スキーマを持っているのか。
それぞれのテーブルやフィールドが、業務上どのような意味を持っているのか。 どのデータを参照し、どの処理を呼び出してよいのか。
こうした情報を AI に伝えるためには、これまでは MCP サーバー側で独自に説明を持たせたり、カスタム App ごとに設定を作り込んだりする必要がありました。
OData のメタデータが強化されることで、カスタム App 側に持たせた情報を外部から参照しやすくなり、AI や外部ツールが FileMaker の構造を理解しやすくなることが期待できます。
これは一見すると地味な改善ですが、今後 AI エージェントや MCP サーバーのような仕組みと FileMaker を連携させていくうえでは、重要な土台になると考えています。
5. AI モデル
利用できるモデルや実行環境の選択肢が増えました。
FileMaker から利用できる AI モデルとして、新たに Google Gemini が加わりました。
Claris FileMaker 2026 動作環境
(動作環境の推奨モデルをご確認ください。)
これにより、既存のモデルに加えて、用途やコスト、社内方針などに応じて利用する AI モデルを選びやすくなります。
また、AI Model Server 側では vLLM を扱えるようになった点も注目したいポイントです。
vLLM 公式では、vLLM は LLM のための高スループットでメモリ効率のよい推論・サービングエンジンと説明されています。
少しわかりやすく言うと、ローカル LLM をより効率よく動かすための仕組みです。
複数ユーザーが FileMaker から AI 機能を利用する場合や、RAG を使って長い文書を扱う場合には、GPU メモリの使い方や同時処理性能が重要になります。
vLLM に対応したことで、FileMaker の AI Model Server をより実運用に近い形で活用しやすくなるのではないかと考えています。
6. サーバーサービスの自動再起動
最後にサービスの自動再起動についてみていきたいと思います。
サーバーのパフォーマンスと信頼性に関わる改善として、サービスの自動再起動も注目したいポイントです。
FileMaker Server 2026 では、FileMaker Data API、OData、Web 公開エンジン(WPE)が予期せず終了した場合に、FileMaker Server が自動的に再起動を試行するようになっています。
これまでも、突発的に Web 公開エンジンが停止し、緊急対応が必要になるケースがありました。
また、こうした状態に気づくためにログ確認や監視の仕組みを用意し、必要に応じて再起動スクリプトを作成するなどの対応を行っていた環境もあるかと思います。
本バージョンからは、自動再起動により、一時的なサービス停止からの復旧性が高まることが期待できます。
もちろん、サービスが停止した原因の確認や、再起動が繰り返されていないかの監視は、引き続き重要なポイントです。それでも、運用中の一時的な障害から自動的に復旧を試行してくれる点は、日々 FileMaker Server を管理する立場としてありがたい改善だと感じています。
いかがでしたでしょうか?
今回取り上げた機能を見てみると、単に新しい機能が増えたというよりも、FileMaker Server を業務システムの基盤として、より安全に、そして AI と組み合わせて活用できる方向に一歩進んだような印象があります。
それ以外のポイントは Clairs FileMaker Server リリースノートを参照下さい。
Claris FileMaker Server リリースノート
今後は実際の運用環境に乗せてみてどのような結果になるのか。を探っていきたいと思います。
準備ができ次第、それぞれの機能について実際に検証しながら、設定方法や運用パターンなどを別の記事で整理していきたいと思います。
最期までお読みいただきありがとうございます!
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