Claris FileMaker 2025 -[GetRecordIDsFromFoundSet ] 関数と [レコード一覧へ移動] スクリプトステップでより柔軟なレコード操作が可能になった!

2025年07月15日 12:00 PM

Claris FileMaker 2025


関連レコードの表示や検索結果の再利用がよりシンプルかつ柔軟に実現できるようになりました!

みなさんこんにちは!
FileMaker Pro 2025では、レコード操作をさらに柔軟にするための新機能が追加されました。
今回ご紹介するのは、[GetRecordIDsFromFoundSet ] 関数と、[レコード一覧へ移動] スクリプトステップです。

これまでは、以下のような処理を実現するにはやや複雑な手順が必要でした。

  • ある条件に一致するレコードだけを別レイアウトで一覧表示したい
  • 一度表示した対象レコードを、別の操作のあとで再表示したい

このような場合、通常は以下のような手順が必要でした。

  • リレーションを設定して
    「関連レコードへ移動」「レコードのソート」などのスクリプトステップを組み合わせる
  • 「新規ウインドウ」で該当するレコードがあるかどうか事前に確認する
  • ループを使って、 または必要なリレーションを設定して集計フィールドの「一覧」を使って
    レコードIDの一覧を取得し、再検索処理をする

これらの方法は構築やメンテナンスの手間がかかり、検索結果を後で再表示したいケースでは、スクリプトも複雑になりがちでした。
しかし、2つの新機能を組み合わせることで、よりシンプルかつ柔軟に、目的のレコードを表示する処理を実現できるようになりました。

◆GetRecordIDsFromFoundSet  関数とは?

この関数は、現在の対象レコードのレコード ID を一覧または JSON 配列として返す関数です。

構文

GetRecordIDsFromFoundSet ( タイプ )

例えば、現在の対象レコードに5件のレコードがあり、それぞれのレコードIDが「3」「4」「5」「8」「10」だった場合、タイプを0,1,2,3,4いずれかを設定すると以下のような値を取得することができます。

◆[レコード一覧へ移動] スクリプトステップとは?

この新しいスクリプトステップは、指定されたレコードIDを持つレコードを指定された並びで表示させるというものです。
オプションでは、以下の項目を設定することができます。

○レコードIDの一覧

改行区切りまたは JSON 形式で指定します。
また、連続するレコードIDは「1-3」のように範囲指定も可能です。

レコードIDの一覧の例

  • “1¶2¶3”
  • “1-3”
  • “[“1″,”2″,”3″]”
  • “[“1-3″]”
  • “[3,2,1]”
  • “[{“recordId”:”1″,”similarity”:0.99},
     {“recordld”:”3″,”similarity”:0.84}]”

このように指定することで、そのレコードIDの順に並べられたレコードが表示されます。

○レコードの表示に使用するレイアウト
 表示するレイアウトを指定します。

○結果オプション 新規ウインドウに表示する / しない
 表示方法を選択できます。

○アニメーション
 表示時のアニメーション効果を指定できます。

◆この機能が役立つ具体例

〈検索条件に該当するレコードが無い場合に、元の対象レコードを再表示させる処理〉
ユーザーが案件管理システムで「受注済み」(ステータスが「受注」または「開発中」)かつ「重要度:高」の条件で案件レコードの絞り込み検索をした際に、
該当するレコードが存在しなかった場合は検索前の状態の対象レコードを表示し直すという機能を作成します。

従来の機能でこれを処理する方法の一例である検索スクリプトと新機能を使った検索スクリプトを比較してみましょう。

従来の機能での検索スクリプト 
※あくまで一例です。ほかにもExecuteSQL関数やリレーション、スナップショットリンクを使った方法があります。

  1. 新規ウインドウを開く
  2. 検索を実行
  3. ウインドウを閉じる
    →該当するレコードが無かった場合はスクリプト終了
  4. 元のウインドウにて検索を再実行
  5. 結果を表示

新機能を使った検索スクリプト

  1. 検索実行前に[GetRecordIDsFromFoundSet ] 関数を使って対象レコードのレコードIDの一覧を取得
  2. 検索を実行
    →該当するレコードが無かった場合は
     レコードIDの一覧と[レコード一覧へ移動] スクリプトステップを使って
     元の対象レコードを再表示してスクリプト終了
  3. 結果を表示


検索前の対象レコードを簡単に保存・再表示できることで
該当するレコードがあるかどうかの事前確認が不要となり、よりシンプルなスクリプトでこれを実現できるようになりました。

さらに応用例として、セマンティック検索の結果を一度どこかに保存しておき、あとから再表示するという処理も[GetRecordIDsFromFoundSet ] 関数と [レコード一覧へ移動] スクリプトステップを組み合わせることで、スムーズに実現できます。

特に、OpenAI API などを利用してセマンティック検索を行う場合は、検索ごとに少額ながらコストが発生するため、毎回検索を実行するのではなく、検索結果を保存して再利用する方がコスト面でも効率的です。

◆まとめ

いかがでしたでしょうか?

FileMaker 2025で追加された[GetRecordIDsFromFoundSet ] 関数と [レコード一覧へ移動] スクリプトステップを活用することで、従来に比べてレコード操作をより柔軟かつ効率的に行えるようになりました。

検索結果の一時保存、任意順での一覧表示、リレーション不要のレコード抽出など、これまで複雑な処理が必要だった場面も、シンプルな構成で実現可能になります。
今後の開発において大きな武器になること間違いなしです。

これからカスタムAppを設計・改善する方は、ぜひこの2つの新機能を活用してみてください!

また、Claris FileMaker 2025には他にも様々な新機能が追加されています。
その他の新機能についても随時ブログを更新していきますので、ぜひチェックしてください!

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