社内システム内製化に向けて ~システム管理編~

2022年12月16日 12:00 PM

その他


はじめに

昨今、世の中の流れとしてデジタル化が推奨されています。電子帳簿保存法の対応など社内システムのデジタル化を急ぐ企業様も少なくないのではないでしょうか。

デジタル化を検討する中で、社内システムの内製化を選択する企業様も増えてきています。実際弊社でも、社内システムの内製に関するお問い合わせが増えています。

その中で開発方法につぎ、課題となるのがシステムの保守であり運用管理ではないでしょうか。今回は内製化で運用することを前提に、システム運用に焦点をあてお話していきたいと思います。

Claris FileMaker のシステムはどうやって動いている?

大前提としてClaris FileMaker はどのように動いているのでしょうか。多くはサーバーで保守し、サーバーにあがったファイルにユーザーがアクセスして利用していると思われます。その場合、以下の内容で構成されています。

  ・FileMaker ファイル:それぞれ作成したカスタムApp

  ・FileMaker アプリケーション:FileMaker Server、FileMaker Pro、FileMaker Go 等

  ・Server OS:Mac OS、Windows 等

  ・サーバー:クラウドサーバー、オンプレミスサーバー 等

  

その他にも細かく上げるとすれば、ネットワークやクライアントが使う端末などもあります。それらは勝手に動いているわけではありません。正常に動かし続けるために、管理をしていく必要があります。利用しているシステムが正常に動くために必要な管理について今回はご紹介いたします。

 

管理するもの

  • Claris FileMaker ファイル(システム)
  • デバイス機器
  • サーバー

今回、管理しなければならないものを大枠で3つ挙げています。これら大枠は、内製化するにあたり日頃の対応やトラブル時など誰がどのような対応をするか切り分けがしやすいものとなります。ですので、複数人でシステム管理を行う場合はそれぞれに担当者を用意することが望ましいでしょう。担当者を設けることでその時どのような行動をしなければならないかが明確になり、内製化の管理が格段に行いやすくなります。

システム運用とシステム保守

システムを管理するにあたって大きく2つの視点からアプローチすることができます。それがシステム運用とシステム保守です。システム運用とは安定した稼働体制の構築を目的としており、通常運用時のシステムの監視やライセンスの更新などがそれにあたります。

対してシステム保守とは、トラブル時の対応や新しい機能の導入などがあたります。突発的な業務に対応しなければいけない点が特徴かもしれません。

この2つの視点から内製化の準備をすることによりシステムを管理していきます。

ⅰ)システム運用(通常時の管理)

まず、システム運用の面から見ていきます。いわゆる何も起きていない通常稼働時の準備には何が必要かというお話です。

① Claris FileMaker ファイル(システム)

・業務フローの把握
業務フローとシステムは切っても切り離せない関係です。
システムファイルを管理している担当者がシステム周りの業務フローを認知することは、有事への備えとなります。システムの改修を行う際にもスムーズに行動に移すことが可能です。
フロー図等を作成しドキュメントに残すことで、内製化のクオリティはさらに上がることでしょう。

・仕様書の管理
こちらはシステムの仕様書そのものの管理です。
内製化を検討しているのであれば、引継ぎのことも想定しておかなければなりません。使用しているシステムの仕様をドキュメントにまとめておくことでトラブル時や改修時、引継ぎ等でスムーズな対応が行えます。

②デバイス機器

・デバイス管理
デバイスの数やOSのバージョンの管理が必要です。

・アップデート管理
Claris FileMaker のバージョン等の管理が必要です。
社内で使用しているアプリケーションが複数ある場合はそれぞれ情報を纏めておきましょう。

・ライセンス管理
Claris FileMaker は年間で更新が行われます。
担当者がいつ更新するのかルールを決めておくことが望ましいです。


③サーバー

・監視ツールの使用
サーバーは管理ツールを使用し定期的に監視することをお勧めします。
弊社では、Zabbixという管理ツールを導入し、サーバーの状態を監視しています。Zabbixとは、オープンソースの統合監視ツールです。プロセスやネットワーク、ログの監視だけでなくミドルウェアまで幅広い監視に対応しています。基本的に通常と異なる動きをした場合にエラーを検知し、アラートで知らせてくれる仕組みです。

日々の監視では警告等が出ていないかを確認し、トラブルの種となりそうなことがあれば対応していきます。

  主な監視対象)

   ・ディスクの空き容量
   ・ネットワークの送受信のバイト数
   ・CPUが正常に動いているかどうか(使用率など)
   ・Zabbix自体が正常に動いているかどうか  etc…

・バックアップ
バックアップについてはバッチを組み対応することをお勧めします。
扱っている情報によって世代数を定めバックアップを取得します。
(更新頻度が高ければ、毎日0時にバックアップを取得する等)

ⅱ)システム保守(トラブル時の対応)

 実際にトラブルが起きた際は以下の対応をすることが多いと思います。

  

  

  1.調査
  2.問題の切り分け
  3.対応の検討 (トラブル内容により対応方法が異なる想定)
  4.修正/復旧対応

上記を仮定し、トラブル時へ準備として3つほど推奨するポイントを挙げます。

①窓口担当を決める

トラブル時、それを発見した人はどの担当者に連絡をするのか、誰がトラブル対応をするのかを決めておきましょう。

②トラブル対応の責任者を決めておく

窓口と似てはいますが責任者も合わせて決めておくとよいでしょう。勿論、窓口担当と責任者を同じ人が兼任してもかまいません。

③トラブル解決後はログ(備忘録)を残す

トラブルに対し、すべてにおいて準備をすることは難しい部分があります。
ですので、起きたトラブルについては備忘録を残すとよいでしょう。これら備忘録を蓄積していくことでマニュアルに近いドキュメントを作成することができます。

  

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は内製化のシステム管理という視点からシステム運用とシステム保守について見てきました。こちらを読んでいただいた方には、システム管理をするには準備しなければならない項目が幾つか存在することをご理解いただけたのではないかと思います。

この記事の内容が内製化を進めたい方の少しでも参考になれば幸いです。