サーバーを復元したらサービスが止められない? ~AWS上のClaris FileMaker ServerをAMIから復元した時のトラブル~
2022年12月08日 12:00 PM
ファイルメーカーのTips
前回、アマゾンウェブサービス(以下、AWS)上のClaris FileMaker Serverを、
Amazonマシンイメージ(以下、AMI)から復元した時に、
データベースサーバーが起動しないというトラブルをご紹介しました。
こちらのトラブル対応中、特定のサーバーで以下のようなトラブルに遭遇しました。
・実行中の「FileMaker Server」サービスを停止しようとすると、
「ローカルコンピューターのFileMaker Serverサービスを停止できません」
というエラーダイアログが出てサービスが停止できない
・サービスの停止を再度試みると、2回目以降はエラーダイアログのメッセージが変わるが、
サービスは停止できないまま
・10分程経過すると、急に自動でサービスが停止される
・サービス再起動後に再度サービスを停止させようとすると同様の状況が再現する
そこで今回新たに発生したトラブルについて、実際に発生したトラブルの様子と、
それに対してどのような対応を行ったかをご紹介したいと思います。
0.前提
・AWSのElastic Compute Cloud(以下、EC2)でサーバーを構築し運用中
・サーバーのOSはWindows Server 2019
・Claris FileMaker Serverのバージョンは19.5
・サーバーのAMIを予め取得済み
・AMIから新しくEC2インスタンスを構築することでサーバー復元
・Claris FileMaker Server Admin Console(以下、Admin Console)にメール通知の設定あり
・データベース暗号化の設定あり
1.事象
AMIから復元したEC2インスタンスで「FileMaker Server」サービスを停止しようとしたところ、
以下のダイアログが出て停止させることができません。
ローカルコンピューターのFileMaker Serverサービスを停止できません。
サービスはエラーを返しませんでした。Windowsの内部エラーまたはサービスの
内部エラーであった可能性があります。
問題が解決しない場合は、システム管理者に問い合わせてください。
ダイアログを閉じて再度「サービスの停止」をクリックすると、
一部メッセージが変化したダイアログが出現しますが、変わらずサービスは停止しません。
また、この後は何回「サービスの停止」をクリックしても同じメッセージのダイアログが出ます。
ローカルコンピューターのFileMaker Serverサービスを停止できません。
エラー 1061: そのサービスは現時点でコントロールメッセージを受け付けること
ができません。
タスクマネージャーを開いて見てみると、「FileMaker Server Helper」プロセスと、
「FileMaker Web Publishing Engine」プロセスが止まらずに動いています。
しかし、最初に「サービスの停止」をクリックしてから約10分後、
急に「FileMaker Server」関連のプロセスが全て止まりました。
サービスの状態を最新の情報に更新してみると、「FileMaker Server」サービスも停止しています。
しかし、「FileMaker Server」サービスを開始して、再びサービスを停止しようとしたところ、
同じダイアログが出て、10分程度停止することができなくなりました。
また、サーバーごと再起動を行ってみましたが状況は変わりませんでした。
2.対応
ダイアログのメッセージではエラーの詳細がわからなかったため、
Claris FileMaker Serverのイベントログを確認してみました。
(Claris FileMaker Serverをデフォルトの場所にインストールしていた場合、
“C:\Program Files\FileMaker\FileMaker Server\Logs\Event.log” に格納されています。)
しかし、「サービスの停止」をクリックした時点では何のログも残っておらず、
約10分後に「FileMaker Server プロセスを停止しています...」と停止が始まっています。
ここで、「サービスの停止」をクリックする前のログに、
暗号化パスワードに誤りがあるためデータベースが開けていない
というエラーが出ていることに初めて気付きました。
復元前のサーバーではAdmin Consoleでメール通知の設定を行っているため、
普段はメールが届きエラーに気付くのですが、今回はメールが届いていません。
「FileMaker Server」サービスを起動して、Admin Consoleの「構成」-「通知」を開いたところ、
「一部の電子メール通知の設定を読み取ることができませんでした。」と表示されていました。
「SMTP設定を編集」をクリックして設定内容を確認したところ、
復元前のサーバーでは設定されていた「ユーザ」と「パスワード」の設定が、
空欄になっており、メールが送信できない状態になっていました。
ここで「ユーザ」「パスワード」を入力して「SMTP設定のテスト」をクリックし、
SMTP設定が正しく設定されていることを確認しました。
SMTPテストメールも正常に届いております。
SMTPの設定を保存した後で「FileMaker Server」サービスの停止を実行したところ、
正常にサービスを停止することができるようになりました。
また、何回かサービスの再起動やサーバー自体の再起動を行いましたが、
特に問題無くサービスの停止ができました。
エラー通知のメールを確認すると、サービスが開始される度に
データベースが開けないエラーが出ていることがわかりました。
これはAdmin Consoleの「構成」-「一般設定」の起動設定で、
「データベースフォルダにあるデータベースを自動的に開く」という設定が有効になっており、
サービスが起動する度にデータベースを全て開こうとするものの、
暗号化パスワードがかかっているため自動では開けずエラーが出ているというものでした。
このエラーについてのメールが届くようになった途端サービスを停止できるようになったということは、
・エラーメールを送信しようとしている間はサービスが停止できない
・しかしAMIからサーバーを復元した時にメールの設定が一部引き継がれていないためメールが送れない
・メールが送信できないままタイムアウトしてから停止が始まる
というのが今回の事象の原因なのではないかと推測しています。
3.まとめ
今回は複数の要因が重なった結果のトラブルでしたが、
起点となったのはAMIからサーバーを復元したことによる設定の引き継ぎエラーでした。
サーバーを復元した際には、一見正常に動いているように見えても、
動作や設定が変わってしまっている部分があるかもしれません。
AMIからの復元に限らず、サーバーを復元する時は、
間違いなく元通りの動作・設定になっているか確認することが大切です。
今回は限定的なシチュエーションでのトラブルでしたが、
事象や対応の紹介が、少しでも何かお困りの方の参考になれば幸いです。