導入事例:貿易業務に必要な大量の書類作成をきっかけに全社的な作業の効率化を実現【フェルカムジャパン株式会社様】

2022年12月12日 12:00 PM

導入事例


今回ご紹介するフェルカムジャパン株式会社様は「海外で商品を販売したいけれど運送手段を持っていない」という企業と運送手段を持っている運送業者の間に立って荷物のやり取りをサポートする“フォワーダー”という業種になります。

主にイタリアのアパレル物流手配を中心に航空輸送と海上輸送 両方へのサービスの提供をおこなっており、海外への輸出入の際には通関手続きや、保税地域での貨物の受け渡しなど様々な業務が必要になるため、それぞれの場面で決まった書式の書類を作成することになります。

例えば 輸入申告を例にとると、必要事項を記載した「輸入(納税)申告書」を税関長に提出する必要がありますが、その他にも

・インボイス(仕入書)
・パッキングリスト(包装明細書)
・船荷証券又は海上運送状(航空貨物については、航空貨物運送状)
・運賃明細書
・保険料明細書

などの書類が必要となり※、貨物の種類によりさらに数種類の書類を作成しなければならない場合もあります。

※財務省HP「 輸入申告の際に必要な書類 (カスタムスアンサー)」より抜粋

物流量の増加に伴い、書類作成スピードに限界が

これらの書類は各人がWordやExcelで都度作成してきましたが、顧客ごとに異なる書式の書類が必要になったり、扱う商品によっては面倒な計算を求められるなど、熟練者でも書類作成にかなりの時間をとられ、業務量が増えれば増えるほど契約や納期調整、仕入交渉などの本来の貿易業務の仕事よりも書類作成の時間が1日のうちの多くの時間を占めるようになりました。

作成した書類は顧客ごとのフォルダで管理しており、

[顧客名] -[年月] -[案件名]と階層が深くなるにつれ、必要な書類を探し出すのにもかなりの時間がかかるようになっており、管理面でも限界を感じるようになってきました。

また、これらの多くは紙ベースで運用されており

・担当者単位でしかやり取りが把握できない
・会社全体の受注残や発注残などのデータ管理ができない
・案件単位の損益計算ができない

などの問題点があり、その結果、社員の業務量が増加していくのに比例して経営におけるリスクも増えていくという状況が発生していました。

パッケージは多機能すぎて使いこなせない

システム導入の話は以前よりあり、いくつかのパッケージ製品を検討しましたが、輸出入業務は企業によって業務の範囲や内容、流れが異なるため自社には必要の無い機能も多く、多機能すぎて使いこなせない可能性もあり、なにより非常に高額なため費用対効果に見合うものはなかなか見つかりませんでした。

そのような背景から、パッケージ以外のWordやExcelに代わるソフトを探していた時、同業者からの情報でFileMakerというソフトがあることを知り、レイアウト作成が直観的におこなえて、操作も簡単であることなどの理由から、このソフトなら増え続ける業務量をカバーできるようになるのではないかと思い、パートナーとしてイエスウィキャンにお声がけをいただきました。

ローコード開発により約半年間で導入効果を実感

一日も早くシステム導入を実現したい背景があったっため

イエスウィキャンからの提案である「実際に使いながら開発」する手法を採用し、まずは

1.各個人それぞれが利用している帳票類のピックアップ

2.上記の標準化

3.FileMakerによる帳票類の作成

ここまでを当面のゴールとして、約半年間で20種類ほどの帳票類をFileMakerで作成し出力できるところまでこぎつけました。

せっかく導入するなら帳票類の作成だけで終わらせたくない

当初はあくまでもWordやExcelの延長として帳票類の作成とその管理ができればよいと考えていましたが、イエスウィキャンから他社の導入事例などを案内してもらう中でFileMakerは帳票類の作成はもとより、案件の進捗や売上の管理を得意としていることを知り、この機会にFileMakerを使って全社的な効率化をすすめるべく、まずは無駄な作業の見直しや本来管理すべき内容の確認をすることになりました。

通常、上記の作業は関係者を集めての実態調査や改善案の検討など、かなりの時間がかかる内容となりますが、開発をしていく中で「ここの内容が書類作成時のタイミングでわかれば、別の種類の帳票も同時に作成ができるはず」といったように実務に即した形で効率化の確認ができたため、開発と並行して全社的な改善をおこなうことができました。

書類作成以外の導入効果が大きかった

書類作成の処理効率を高める目的で導入したFileMakerですが、書類の作成スピードが向上しただけでなく、システム化を進める中で問題点とその解決策を考える機会が生まれたことにより、結果として作業効率全般の改善をおこなうことができました。

FileMakerと他のソフトとの一番の大きな違いは「実際に使いながら開発」をすることが可能な点ではないでしょうか

PDCAサイクルをスピーディーに回すことができ、現場の方が効果を肌で感じながら日々フィードバックを続け、改善を図ることができる。

まさにそれを実現した開発事例かと思われます。

今後はさらに見える化を進めるために、案件の進捗管理なども取り入れ、システムをより使いやすい物に育てていく予定です。