Claris FileMaker の「レコードの保存/送信」でPDFが作成できない?

2022年07月04日 11:00 AM

トラブル


Claris FileMaker(以下 FileMaker )で今までできていた「レコードの保存/送信」からPDFファイルを作成することが、ある日できなくなったことはありませんか。今回は、お客様に起きたトラブルを発端にこのブログを書いてみようと思います。

 

PDFファイルが作成できない

まずは、問題のエラーです。

 

PDFファイルが作成できないようです。

そして特定のPCにだけ、このエラーが発生します。先週は問題なくPDFファイルを作成できでいたのですが・・・。

 

このエラーが出るのは、どんな時でしょうか。

「ファイル」→「レコードの保存/送信」→「PDF…」で保存の種類と保存先とファイル名を指定します。

 

そして「保存」を押した時にエラーが発生します。

通常であれば、指定した場所に指定したレコードの内容でPDFファイルが保存されます。

では、エラーメッセージ『「見積.pdf」をこのディスク上に作成できませんでした。ファイル名を変更、ディスクの空き容量を増加、ロックを解除、またはほかのディスクを使用してください。』 が出てしまった原因を考えてみましょう。

  1. 指定したファイル名と同名のファイルが存在し、現在開かれた状態である
  2. ディスクに空き容量がない
  3. 指定した保存先フォルダが書き込み禁止である

こういったことが考えられるのではないでしょうか。

しかし上記の条件のどれにも当てはまらないとしたら、次は何を調べればよいでしょう・・・。

困ってしまいますよね。

「アクセス権で印刷を許可していない」これはどうでしょう。

このシステムではそのような制限はかけていませんので、当てはまりません。

今までPDFファイルとして保存できていたのに、できなくなってしまった。

何か思い当たることはないでしょうか。

 

解決策を検討する

エラーは特定のPCだけに起きている、そのような時1つ試していただきたいことがあります。

フォントの再インストールです。

理由としては、エラーが発生するレイアウトで使用しているフォントが、正しくインストールされていない可能性があるからです。PC購入時やOSインストールをした初期状態のPCに入っていない特殊なフォントを使用してレイアウトを作成している、また最近レイアウトを作成、変更した。こういった場合フォントが正しくインストールされていないと今回のエラーが発生することがあります。

では早速エラーが発生するレイアウトで使用しているフォントを確認していきましょう。

確認方法は主に2通りです。

  1. XMLファイルに書き出して確認(「ツール」→「名前を付けてXMLとして保存」)
  2. レイアウトモードで1つずつ確認

他にも方法はありますが、ツール等を使うので割愛します。

今回は、②のレイアウトモードで1つずつフォントを確認してみます。

 

レイアウトで使用しているフォント一覧

  1. MS P明朝
  2. メイリオ
  3. MS Pゴシック
  4. YWCオリジナル

 

全部で4フォントとなりました。この中から特殊なフォント「YWCオリジナル」フォントを再インストールしてみます。ちなみに、ここで言う特殊なフォントとはPC購入時やOSインストールをした初期状態のPCに入っていないフォントを指します。

 

<フォントの再インストールをしてみる>

再インストールは、フォントファイルを直接右クリックし「インストール」を選択します。フォントファイルは、C:\Windows\Fonts にありますが、ない場合は改めてダウンロード、もしくはPC管理者へ確認してください。

ただし再インストールするフォントファイルがC:\Windows\Fonts にある場合は右クリックで「インストール」ができませんので、インストールしたいフォントファイルを別の任意の場所にコピーして、そのフォントファイルに対して再インストールをしてください。

フォントファイルの再インストールができたら、念のためPCを再起動します。インストール方法は他にもありますが、ここでは割愛します。

では、動作確認をしてみます。「ファイル」→「レコードの保存/送信」→「PDF…」→「保存」です。

同じエラーメッセージが表示され、PDFファイルは作成できませんでした。

 

<フォントのインストールについて調べてみる>

ここで、かなりガッカリしましたが、屈せずフォントのインストールについて調べていきます。

するとPCのフォント保存場所は複数あることが分かりました。ということは、先ほどフォントの再インストールを行う際、フォントファイルを右クリックした際に選択肢に表示された「すべてのユーザーに対してインストール」を実行すれば良いのではなかと予想ができます。では早速実行してみることにします。

インストールをしたらPCを再起動します。

改めて動作確認をしてみます。「ファイル」→「レコードの保存/送信」→「PDF…」→「保存」です。

保存ができました!

 

ところでなぜフォントのインストールがすべてのユーザーに対してインストールできていないとPDFの保存ができなかったのでしょう。

まずはフォントのインストール方法とフォントを保存する場所を確認してみましょう。

インストール方法 インストール先フォルダ
インストール C:\Windows\Fonts
C:\Users\インストールしたユーザ名\AppData\Local\Microsoft\Windows\Fonts
すべてのユーザーに対してインストール C:\Windows\Fonts
C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Microsoft\Windows\Fonts

 

「インストール先フォルダ」を確認すると、インストール方法が「インストール」の場合は、そのユーザー固有のフォルダにインストールされます。「すべてのユーザーに対してインストール」した場合は、PCに登録されているユーザー全員の各 -\AppData\ 以下にそれぞれインストールされます。

このようにインストール方法によってインストール先が異なることが原因で、アプリケーション上でフォントが正しく表示されないことがあります。FileMaker も例外ではありません。FileMaker が動作する時に参照するフォントフォルダがどこなのかは明確にわかりませんが、今回のPDFファイルが作成できない問題には、フォントを「すべてのユーザーに対してインストール」することで対処できました。

 

冒頭の FileMaker のエラーメッセージの内容と今回の対処方法は合っていませんが、PDFファイルが作成できなかったことに関しては、PDFで保存する際にレイアウトで使用しているフォントが見つからず読み込めなかったということになるかと思います。確認したところレイアウトモード、ブラウズモードの画面上は正しいフォントで表示されていますので、PDFファイル作成時は、レイアウトモード、ブラウズモードとは異なる場所にあるフォントを見に行っているということが推測されます。

つまりフォントの参照場所は最低でも以下の2つあるということです。

  1. FileMaker がレイアウトモードやブラウズモードで画面表示する時
  2. FileMaker がプレビューモードやPFD保存をする時

この対処法としてフォントのインストールの際は、「すべてのユーザーに対してインストール」を行う必要があるということになります。そうすると ①、② それぞれの参照先フォルダにフォントがインストールされますので冒頭の FileMaker のエラーは発生しなくなります。

 

もちろん今回ご紹介した方法で解決しない場合もあります。あくまで一例としてご参考にしていいただけたらと思います。

ポイントは、以下の2つです。

・フォントは複数の場所にインストールされている

・フォントファイルを右クリックし「すべてのユーザーに対してインストール」

 

そして、どうしても必要な場合以外は特殊なフォントを使用しない、というのがトラブルを避けるためには良いのではないでしょうか。

それでは、引き続き精進し有用な情報があれば発信して参りますのでどうぞ宜しくお願い致します。

最後までお読みいただきありがとうございました。