事例:貸付金管理システムの開発~YWCとお客様とで開発プロセスを分担~【公益社団法人沖縄県農林水産団体共済会様】

2021年08月02日 11:16 AM

導入事例


今回、開発・導入事例としてご紹介させていただくのは

公益社団法人沖縄県農林水産団体共済会様” です。

 

沖縄県共済会は、会員(企業団体)の「退職金制度」をサポートする事業をメインに、

その従業員へ福利厚生を行う事業等を展開する公益法人です。

 

沖縄県共済会様とは、福利厚生事業の貸付金管理システムについて

FileMakerでの新規開発をお手伝いさせていただきました。

 

そこで、このブログ記事では、

①イエスウィキャンに開発を依頼いただいた理由

②お客様と作業分担を決めて開発をおこなったこと

③作業分担を上手く進められたポイント

④完成品の共通イメージを正確に共有するための工夫

などについて、ご紹介していきたいと思います。

 

 

■FileMakerプラットフォームで開発しようと思ったきっかけは?

 

沖縄県共済会様では、貸付金の新規受付から返済計画の管理、毎月の請求・入金管理などを行っており、もともとはAccessのシステムを利用し業務を運用していました。

しかし、十数年前に構築されたAccessのシステムはバージョンも古く、Windowsのアップデートに対応できないなどの課題がありました。

 

そこで、システムの作り直しを検討し、白羽の矢が立ったのがFileMakerでした。

 

Accessと比較されることも多い、FileMakerですが、

ドラッグ&ドロップで直感的に開発を進めていける点や、

プログラミング言語を用いずに、機能を実装することができる点などに魅力を感じ、

FileMakerでの開発を検討し始めたそうです。

 

 

■イエスウィキャンへ開発を依頼いただいた理由は?

 

自社で、通常業務をしながらの開発を行う予定でしたが、

時間(リソース)が足りず、外部の開発会社へ依頼することになりました。

 

その際にお問い合わせいただいたのが、弊社イエスウィキャンでした。

 

イエスウィキャンへの依頼を決めたきっかけを、システム担当者の方に伺いました。

 

当初は、沖縄県内でFileMakerの開発ができるベンダーを探していましたが、

思うようにベンダーが見つからなかったため、Claris社のサイトを利用しました。

そこで、数社の開発ベンダーを紹介いただき、開発依頼の連絡をしました。

 

各社とメール及びWEBミーティングでやり取りを行いながら、

簡易見積の返答をいただく中で、

「限られた予算」や「遠隔地による意思疎通の不足」を懸念しておりましたが、

イエスウィキャンさんの「安心の複数名体制」や「様々な角度からお客様の課題へのアプローチ」に惹かれ、依頼を決めました。

 

 

■限られた予算内で開発するために、作業を分担

 

外部へ開発を委託すると、どうしてもある程度のコストが発生します。

限りある予算の中で、充分な機能を実装するためにどのように開発を進めていくのか、

最初に話し合いを行いました。

 

そこで今回は、通常であれば弊社で作成する、

要件定義書(仕様書)の作成を共済会様にお願いすることになりました。

 

要件定義書の作成コストを削り、開発コストに充てることでより良いシステムの構築を目指しました。

 

 

なぜ、共済会様に要件定義書の作成を依頼できたのか?

 

弊社としても、お客様に要件定義書の作成をお願いする、ということは

初めての試みで、手探りな部分もありました。

 

しかし、共済会の担当者様が、

・現行のAccessシステムの開発者であったので、仕様を把握しており、とても詳しかったこと

・ご自身でFileMakerを触っており、今回のシステム開発に対して、積極的にFileMakerを学んでいらっしゃったこと

など、お客様の大きなご協力もあり、「お客様に要件定義書を作成いただく」という試みが上手く運び、システム開発へスムーズに進めることができました。

 

 

■開発の進捗状況を確認するために定例会議をセッティング

 

通常の開発プロセスでは、要件定義が終わった後

弊社で開発を進め、テスト版を納品、お客様に動作テストをしていただき

最終調整をした後、本納品をします。

 

しかし、今回は要件定義〜テスト版納品までの間に、定例会を設けました。

というのも、開発を依頼いただいた当初から

「開発途中のプロセスも見せて欲しい。」と、

沖縄県共済会様からご要望をいただいていたからです。

 

東京と沖縄という遠隔地のため、定例会はオンラインで行いました。

定例会では開発システムの画面を共有しながら進捗確認を行い、

終了後にその時点でのファイルをお渡しするという方法を取りました。

 

このように、「要件定義書」という資料だけでなく、

実際の開発システムを、見て・触っていただくプロセスを間に取り入れたことで、

紙ベースではわかりにくかった、細かな操作性のイメージを両社で具体的に共有することができました。

 

お互いに共通のイメージを、具体的に・しっかりと持てたことで、

動作テストによる最終調整も大きく発生せずに、

本納品を迎えることができました。

 

 

■AccessからFileMakerに移行してみて

 

移行後の実際の操作感について伺いました。

 

業務の担当者からは、システム全体の動作スピードが向上しているとの評価を得ております。

また、システム管理者としてFileMaker Serverによる運用はAccessのファイル共有と比較してデータ保守の信頼性が高いと感じております。

FileMakerシステムのメニュー画面

 

また今回のシステムでは、旧Accessのシステムにはなかった「入金管理」の機能を追加しました。機能の使い勝手について伺いました。

 

従来システムでは「予定の入金があったか」のチェックだけでしたが、

追加機能により、入金日やその金額に過不足が無いか等、

より詳細なデータが記録できるようになり、

会計帳簿との照合作業にかかる事務負担がだいぶ軽減されました。

入金管理を行う画面。入金金額(消込元金・消込利息)や入金日(消込日)を入力できる項目を設け、正確にデータを管理できるようになっています。

 

■最後に

 

実は、弊社が納品した後も、現場の運用に合わせて沖縄共済会様自身で、システムの改修を行っております。

 

このように、実際の現場の状況に合わせて、後から機能を追加・修正できるのも

FileMakerプラットフォームでのローコード開発の魅力です。

 

システムの基幹的な部分・土台を、弊社のような開発ベンダーが構築。

現場の運用に合わせて修正が必要な枝先の機能は、お客様ご自身でメンテナンス。

といったように、開発ベンダーとお客様とで担う領域を上手く分けることで、

ローコード開発のメリットを十分に活かすことができるのではないでしょうか。