「考える力」が属人化を解消する― Claris FileMaker内製開発を止めないための開発ルール ―

2026年07月16日 10:00 AM

導入事例


「システムを作れるのは自分だけ」
そんな不安から始まったのが、日本蛍光化学株式会社様の属人化を解消するための取り組みでした。

日本蛍光化学株式会社様は、有機蛍光顔料の製造を専門とする化学メーカーです。

1961年の創業以来、蛍光インクや蛍光塗料の原料となる蛍光顔料の開発・製造に特化し、筆記具、印刷インキ、樹脂着色など幅広い分野の製品を提供しています。

粉末タイプ、溶剤溶解タイプ、水分散タイプなど多様な製品形態を持ち、顧客の用途や要望に応じたカスタマイズ対応を強みとする研究開発型企業です。

日本蛍光化学株式会社様では、約6年前からClaris FileMakerを使用し、社内システムを運用しています。
「業務効率化」という当初の目的は確実に果たしてきた一方で、次第に大きな課題として浮かび上がってきたのが 開発の属人化 でした。

本記事では、Claris FileMakerによる内製開発の現場で直面した課題解決のために、「考える力」を起点に属人化の解消へと踏み出した事例をご紹介します。

栗原 崇様へインタビューをさせていただきました。


開発初期の壁は「UI/UX」だった

Claris FileMakerでの開発は、通常業務と並行して栗原様1名で進められており、最初は

  • 自分の知識・経験もゼロに近い状態
  • 何から手をつければよいのか分からない
  • 開発時間が十分に取れない

という厳しい状況でした。

そんな中でも着手を進めていくうち、最も大きな課題となったのが、ユーザーにとって使いやすい画面・操作性(UI/UX)の実現です。

たとえば現場からは、

  • 納品先の検索で、入力途中の文字から候補を表示したい
  • 漢字が分からなくても、ひらがなで直感的に検索できるようにしたい

といった具体的な要望が寄せられていました。

しかし、当時の栗原様はそれらの要望をどう実装すべきか分からず、試行錯誤が続きました。
「システムは、使われ続けてこそ意味がある」
 この思いが、UI/UX改善を最優先テーマとして取り組む原動力になりました。


課題解決に向けた技術習得の取り組み

栗原様は課題解決のために、Claris FileMakerの開発技術について学習を進めました。
学習方法は、書籍から始まり、インターネット記事やYouTubeへと広がっていきました。

特に役に立ったのは、ClarisやClaris Partnerが公開しているサンプルファイルの中を確認することでした。サンプルファイルの中には、完全アクセス権まで公開されており内部構造まで見ることができるものがあります。

サンプルファイルの動作を実装するために

  • スクリプトはどう書かれているのか
  • 計算式はどんな意図で組まれているのか
  • なぜ、この設計になっているのか

といった視点でサンプルファイルを自分なりに分析し、自社システムに応用していく。
この地道な試行錯誤とPDCAの積み重ねによって、UI/UXに関する初期の課題は少しずつ解消されていきました。


次に見えてきた最大の課題「属人化」

UI/UXの改善が一段落した頃、次に強く感じるようになったのが属人化への危機感でした。

  • 改修要望に自分しか対応ができない
  • 他の誰もシステムを触れない

「このままでは、ある日突然システムが止まるかもしれない」
そう感じたことが、社内で開発体制を見直すきっかけとなりました。
よくある解決策に、「ベンダーに任せる」「新しいシステムに入れ替える」といった方法がありますが、どちらも属人化の本質的な解決にはなりません。

これまで使ってきたからこそわかるClaris FileMakerの良さを活かしつつ、属人化を解決するための方法として、開発できる人員を増やす前に、まずは誰が開発しても一定の品質を保ち、開発を属人化させないための考え方の習得を目指すことにしました。


弊社からの提案

属人化に関するお悩みこの悩みを打開すべく、弊社は「Yes!開発ルール講座」をご提案しました。

Yes!開発ルール講座とは、1996年の創立から約30年にわたりClaris プラットフォームでシステム開発を行ってきた弊社だからこそお伝えできる開発ルールに関するノウハウを、まるっと伝授するトレーニングサービスです。
弊社が実際の開発で使用している開発ルールをベースに、座学だけではなくハンズオン形式で実践的に学び、身に着けていただくことができます。

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受講目的は「考える力の基礎」の習得

講座受講にあたって、栗原様の上司の方からは
「本当に会社にメリットはあるのか?」という不安の声もありました。
それに対して栗原様は、講座受講の目的として将来的に「誰が見てもシステムの本質を理解できる状態」を実現するための考える力の基礎を身に着けることであることを説明されました。

システム開発において、

  • なぜこの設計にするのか
  • なぜこのリレーションが必要なのか

といった問いに、どの開発者もシステムを一目見て説明できる状態が理想です。
そのためには、再現性のある思考プロセスを開発メンバー全員が身に着ける必要があります。
これは、新システムを開発する際だけでなく既存システムを改善する際など、あらゆる場面で必要となる会社にとって不可欠なものです。

「Yes!開発ルール講座」は、社内に共通の思考基盤を残すための“人材投資”として位置づけ、受講を検討されました。
最終的にはこの考え方が評価され、栗原様の他に今後開発に携わっていく2名のメンバーの講座受講が実現しました。


プロの視点に触れて気づいた「自己流の限界」

受講後、特に印象に残ったのは、プロの考え方は独学で得たものとまったく違うという点と栗原様はおっしゃっていました。

たとえば、

  • 命名規則の考え方
  • リレーションシップグラフの整理方法
  • ハウスキーピングフィールドという概念

など、これまで「なんとなく」作ってきた部分に、明確な意図と理由があることを知り、
自分が分かりやすい=他人も分かりやすいではない という事実に気づかされたそうです。
「なぜこの構造なのか」「なぜこのフィールドが必要なのか」
講座の課題を通じて、受講した皆様は自然と“なぜ”を考える習慣を身につけ始めています。


混合チームだからこそ生まれた学び

今回の受講は、経験者である栗原様に加え初級者2名という構成で受講されています。

実はこの組み合わせが、学習効果を大きく高めています。

  • 初級者がつまずいたポイントをそのままにしない
  • 経験者が別の視点でフィードバックする
  • 講座後の復習や議論につながる

単に講義を聞くだけでなく、社内で会話が生まれることも属人化解消への第一歩になっています。

その結果、受講後に感じた最初の変化は「技術」より「意識」でした。

  • 他メンバーが自然にシステムの改善点を口にする
  • 「なぜこうなっているのか?」という会話が増える
  • 将来のリプレイスを前提に、設計を議論できるようになる

開発を「一部の人の仕事から、会社の仕事へ」という意識の変化が起き始めています。


「作り直し」を見据えた、2年計画のリプレイス

現在は、講座で学んだ考え方をベースに、

  • リレーションの再設計
  • スクリプトの見直し
  • セキュリティ設計の再構築

といった、システム全体のリプレイスも視野に入れています。

期間は約2年。育成中の2名に加え、将来的には開発メンバーをさらに増やし、Claris FileMakerを長く使い続けられる社内体制を目指しています。


最後に

システムの内製化で大切なのは、開発技術はもちろん “考え方” も非常に重要です。
内製化されたシステムは、システムが完成した瞬間がゴールではありません。

  • システムを引き継げるか
  • システムを長く育てられるか(拡張し続けられるか)
  • 業務が変化しても使い続けられるか

そこまで考慮することで初めて意味のある投資となります。

イエス ウィ キャンでは、「Yes!開発ルール講座」や「一緒に開発しましょうトレーニング」など、内製開発を止めないための伴走支援も行っています。

  • 属人化が不安
  • 教えられる人が社内にいない
  • システムを作る前に考え方を整理したい

そんなお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
「考える力」を軸に、持続可能な開発体制づくりを一緒に進めていきましょう。

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