増山鐵工様のClaris FileMaker 導入事例:バラバラだった情報が“ひとつ”に集約されるまで

2025年08月06日 12:00 PM

導入事例


製造業をはじめとする多くの現場では、日々さまざまな書類やデータが飛び交い、それらをどのように整理・活用していくかが業務効率に直結します。今回は、そんな課題を「Claris FileMaker」で見事に整理・統一された増山鐵工様の導入事例をご紹介します。

株式会社増山鐵工様は、1975年創業の建築鉄骨を主力に、太陽光発電架台等、鉄に関する製品を製作されている会社です。

 増山鐵工様のホームページ:http://www.masuyama-sc.com/

抱えていた課題:無駄な業務は避けたい!

Claris FileMakerの導入前、増山鐵工様ではデータの重複や分散が大きな悩みでした。
見積書は各担当がExcelで作成し、紙やPDFでお客様に提出していました。契約書や工事単価表といった資料も別々で管理されていたため、必要な情報を探すのに時間を費やしていたとのことです。  

また、過去に類似の工事を行っていたとしても、どのような内容で対応したか、費用や工期、材料費などを振り返る手段がなく、ノウハウが蓄積しにくい状況でした。材料費の変動も激しい中で、過去実績との比較ができないのは大きなリスクです。

目指したのは「データの一元化と業務の見える化」

増山鐵工様がFileMakerに期待したのは、**「情報の一元管理」と「業務の簡略化」**です。

  • 「ここを見ればわかる」という状態を作りたい
  • 過去の実績と比較しながら、より正確な判断をしたい
  • ペーパーレス化を進め、紙の保管や管理にかかる手間を減らしたい

こうした目的のもと、FileMaker導入がスタートしました。

今回は当社に開発を依頼いただく受託開発という方法でFileMakerを導入いただいております。具体的流れとしては下記流れで進めました。

進めていく中で直面した「伝えることの難しさ」

開発の過程では、いくつかの壁もありました。特に、業界特有の管理方法をどのようにシステムに落とし込むか、そして社内での意見のすり合わせに苦労されたとのことです。

プロジェクトを進める増山鐵工のご担当者様が必ずしもシステムに精通しているわけではなく、「やりたいこと」をうまく言語化して伝える難しさや、部署ごと・担当者ごとに異なる要望をどのように一つのシステムにまとめていくかという課題がありました。

要件定義では、開発を進める中でいくつかの見直しや修正が必要になる場面もあり、増山鐵工様からは「もう少し要件を具体的に詰めておけば、よりスムーズに進められたかもしれない」との振り返りもいただいています。

実は、この要件定義の工程を担当させていただいたのはイエスウィキャンの私自身なのですが、今回のプロジェクトを通じて、改めて**「正しいコミュニケーションの重要性」**を実感させられました。
私の至らぬ点も多くあったと反省しており、ヒアリングの深さや、相手の言いたいことを汲み取る力、そして認識を共有するための確認作業の大切さなど、学びの多い経験となりました。

この経験を今後に活かし、より丁寧で確実な要件定義ができるよう、引き続き努力してまいります。

システム完成後の効果:「Claris FileMakerに集約することができた」

まず最初に取り組んだのが 「顧客管理」。

お客様情報を一元化し、誰が見てもすぐに分かるように整理しました。

ここで管理する情報は、のちの工事案件ともスムーズに紐づくように設計しています。

次に構築したのが 「工事管理」。

工事の基本情報だけでなく、受注~完了までの進捗状況をしっかり管理できるようにしています。どの工事が今どのフェーズにあるのか、一覧で把握できるので業務の抜け漏れ防止にもつながります。

さらにこの2つの管理をベースにして、

  • 仕入情報
  • 外注管理
  • 職員の日報情報

といった工事に関わる周辺情報もリレーションで接続。これにより、1つの工事案件に関するすべての情報がFileMakerに集約される仕組みを作りました。

すべての情報がつながっているからこそ、「この工事、最終的にいくらかかったの?」「原価はそれぞれどれくらいかかったの?」といった期末の集計や分析作業もスムーズに行えるようになりました。

完成したFileMakerシステムは、増山鐵工のご担当者様から情報の集約と共有が進んだと評価をいただいています。

  • 同じデータを複数人が同時に確認できるようになった
  • 過去の工事データと比較できるようになった
  • Excel・紙ベースで行っていた作業が減り、手入力が不要になった部分も
  • 日報や書類のインポート処理が自動化され、時間が短縮された

「業務の手間が改善された」とおっしゃっていただけたのは、非常に嬉しい成果です。

今後の展望:「さらなる自動化と、現場で使いやすいシステムへ」

現在も、一部では紙による手書き作業が残っている部分があるため、さらなる自動化の推進と、印刷レイアウトの充実化を今後の課題として挙げられています。

将来的には、出退勤管理や日報処理の電子化も目指したいと語ってくださいました。

これから開発する人へのアドバイス

最後に増山鐵工様から、これからFileMakerを使って開発を進める人へのアドバイスをいただきました。

  • 目的や完成イメージを明確にしておくことが大切
  • 初期の段階で使う人・管理する人の意見をしっかりとすり合わせておくこと
  • レイアウトや印刷形式も、後になって修正が難しくなる前に相談した方がよい

「最初は慣れていない人も多く、思ったより“使い勝手”に意見が出てくる」との声もあり、現場の声を拾い上げながら開発を進める重要性を改めて実感されていました。

まとめ

増山鐵工様のように、業務の情報が分散していることで日常的なストレスや無駄な作業が発生している企業は少なくありません。Claris FileMakerを活用することで、そうした問題を整理し、**「業務の可視化」「ノウハウの蓄積」「作業の簡略化」**を実現することができます。

これからFileMakerで開発を検討されている方は、ぜひ本事例を参考にしていただき、自社にとって本当に必要な機能を見極めながら、理想の業務システムを目指してみてください。