ただほど 高いものは無い 2005年2月号
 

  「ただほど 高いものは無い」と昔からのことわざがあるように、ITの業界でもそういった話はいくつもころがっている。そんな中で皆さんにもありそうなことをいくつか。

「カラーレーザープリンタ、使わなくなったんだけど、要る?」
A社の社長は古くからのデザイン会社を経営している友人からいきなり電話でこういわれた。なんでも半年前に購入したのだが、印刷速度が遅く仕事に支障をきたすので、より高速なプリンタを購入したそうだ。しかしデザイン会社ではなく普通のビジネス文章を印刷するA社で使うには充分の機種であり、総額でも50万円以上するA社にとっては高価なプリンタだった。
A社にもカラープリンタはある事はあるのだが、3年前に買ったインクジェットがあるのだが、印刷速度も遅く社員からも新しいプリンタの購入を催促されていたのだった。
そこで社長は「じゃお言葉に甘えて。」
「それからトナーもたくさん余っているしそれも付けるが、申し訳ないが取りにだけ来てくれるかな。」
社長はいつもカラープリンタをせがむ二人の社員に取り行くように指示を出したのだった。
しばらくして二人から会社に電話が入った。何の相談だろう。
「社長、大きすぎてタクシーに入りません。」
仕方が無いので後日社長が自家用車を会社に持ってきて、3人で二時間もかけて運んでどうにかこうにか会社に導入したのだった。
初めのうちは「早いですね〜」とか「キレイだな〜」とか社員はプリンタを褒めていたのだが、数日たつとあちこちから苦情が出始めた。プリンタの調子が悪いのだ。突然止まったり、色が落ちたり、トナー切れが頻発したり。そして1週間後のある日とうとうプリンタが動かなくなった。仕方が無いので修理を呼んだのだが、そこでも一苦労。「保証書が無い」だの、登録されていないだの、ようやっと翌日きてもらって修理をしてもらった。
「動かしましたか?止まった原因はこれです。精密機械なので運搬は慎重にしないと中の部品が壊れてしまうんですよ。それからリサイクルトナー使ってますよね。これも調子の悪い原因です。」
今では元気に動いているそうだが、修理代だけで10万円以上したそうであり、導入までの苦労した時間を考えると社長は「ただほど高いものは無い。」とこうつぶやいているそうだ。
(全てのリサイクルトナーが悪いということではありません。あしからず。)


B社では学生アルバイトを多数雇用しており、その中でシステムに詳しいC君にシステムの面倒を会社設立当初から見てもらっていた。サーバーからクライアントまで安いという理由で全部自作機。10台全部そろえて50万円しなかった。OSも無料で配布しているものを使い、ライセンス料金等も一切発生しないものだからだ。また業務システムも彼が構築をしてくれたもので、それも無償で配布されているDBを利用して、毎週といって良いほど改良を加えてもらい、B社には無くてはならないシステムに成長をしていったのだった。
4年後C君は大学を卒業して新しい会社に就職をすることになる。もちろんB社の社長もC君を会社にも誘ったのだが、彼の意思は固く丁寧に断られた。しかしC君は就職後もシステムの面倒を見てくれると約束してくれたのだった。社長もその間に代わりを探そうと気軽に考えていたのだ。
しかし5月にC君から「6月からアメリカの研究所に配属されることになりました。」とのこと。改めて彼の優秀さに驚くとともに、事態の深刻さに背中から冷や水をかけられたような気分になったという。
社長はあわてて業者を探したのだが、利用しているOSや業務システムの件を聞くと、それだけで断られるケースが多く、仮に受けるとしてもとても高い見積が出てくるのだった。
「そのOSをやっている技術者は当社にはいません。」
「そのDBの仕様書がないとなんともお答えできません。」
結局WindowsOSをベースとした業務システムを新たに構築して、マシンも全て総入れ替えとなり、結局1000万円以上ものコストがかかってしまったのであった。

上記の例以外に「不法コピーのソフトを利用していたが、ISMSのため揃えることになり試算してみると600万円になった。」とか、「システムに詳しい営業部長が3日間、ウィルスの退治に費やされた。」というような話は、まだまだあるのだが、紙面の都合でまた次の機会にお話したいと思う。