ITベンダーとの付き合い方 2004年2月号
 

ITが経営の道具として欠かせない昨今、あらゆるITベンダーとお付き合いしている企業が多いと思う。あらゆるIT関連の会社から、あらゆる規模のITに関する、あらゆる提案を日々、受けているのではないだろうか。新しい技術の用語が氾濫しているケースが多く、何を基準にそのITベンダーや営業の提案を評価すればよいのか迷ってしまうことも多いのではないだろうか。今回はその提案を判断する方法を、まことに私流の方法だが、いくつかここで紹介しようと思う。

提案書の「社名」を「同業他社」に変えてみよう
ITの提案にはだいたい提案書がつき物である。その提案書の文書の「貴社名」を「同業他社」に変えて読んでみよう。そうしてその内容がすべて意味の通るものであったら、その提案を検討する事はやめたほうが良いと思う。
その提案書は「社名」だけを変えて別の会社でも使われている可能性が多いのだ。
最近の提案書はそのほとんどがパワーポイントで作られている。パワーポイントが利用される理由として多いのが「雛形の種類の多さ」と「それを出すまでの手軽さ」ではないかと思う。例えば新規作成から「お客様への提案書」雛形を選ぶと、ほんの数秒で8ページの提案書が出来てしまうのだ。
もちろん「雛形」が悪いといっているのではないし、手間は出来るだけ省くべきである。しかしソリューションの提案であれば、それも会社の経営戦略を左右する提案であれば(イコール 提案金額が高いってことですが)、その提案内容はその会社独自のもので無ければならないはずであり、どこからどこまでも同じ提案ですむということは無いのである。
「手間を省く」ことを「提案内容を均一化する」ことと勘違いした提案書は、貴社名を他社名に変えてみることで意外と見抜けるものである。
またこの方法は一〜二枚のパンフレットよりも、提案書それもページ数が多ければ多いほどこの方法は精度が高くなるはずだ。
(実際に提案をした営業マンが修正し忘れたのか、何ページか同業他社の名前が書いてあった提案書を何度か目にしたことがある。)

「価格が安いことは重要なんだよね」と言ってみよう。
この言葉にすぐに反応して、価格の優位性や他の製品等との価格との比較を始めた場合も要注意である。昨今のデフレの波はこのIT業界も例外ではない。例えば1年前は100万円もしたソフトが、今では同じ機能のソフトが1万円もしない、(まるでバブル崩壊期の不動産のような)なんてことがざらにある。
そうすると営業の心理として「またか値段の話か」という気持ちが働き、それに慣れている営業マンであればあるほど、この商品の「価格優位性」についてすらすらと語りだすのである。
これはどんな商売でも当たり前のことなのだが、価格競争」に疲れてしまった営業は得てして、「価格」には敏感に反応するのである。
実績があり力のあるITベンダーの営業は「本当にお客様に必要なソリューションは何か」を日々考えている。そもそもどんな会社でも「価格」は重視するのは当たり前で、同じ価値なら、安いことに越したことがないのだ。さらっと流して「価格を重視されることは分かりました。その他にはどんな事を重視されますか?」とくれば合格であろう。

わざと余計な機能をお願いしてみよう
システム開発をお願いした場合にわざと、システム開発本来の目的とはかけ離れた「余計な機能」を追加でお願いしてみるのである。
例えば「いちいち入力するのが面倒なので100人いる社員名はプルダウンで選べる機能がほしい」とか「このトップの画面のボタン、きれいに3Dで表現してほしい」とか。
こういったことをお願いして「はい、分かりました。考えてみます。」ときたら要注意である。あきらかに「100人のプルダウンメニュー」など使いづらいし、画面をきれいに表示するということは表示速度の低下につながるので、本来お断りするべきことである。しかし「お客様の要望を必ず聞く」ということを勘違いして「どんなことでも鵜呑みにする」と思っているITベンダーや営業マンは前述のような答えになる。得てしてヒアリング能力の弱い営業にありがちな対応である。
「それは今回のシステム作成の目的とはかけ離れているので、やめませんか。」と、反論してくれば合格であろう。


先日同業の何人かの社長と話す機会があった。(私の会社は中堅中小企業向けのシステム担当者の代行をしている。世の中では「ITベンダー」なんて呼ばれているが・・・。)景気が上向きかかっているとはいえ、今後もまだまだ厳しい状況が続く中、どうやってお客様からの信頼を得ていくかが課題になった。前述の内容は「こうなってはいけない」という話のいくつかをご紹介させていただいた。