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新車を購入したとしよう。ガソリンスタンドに行き給油をしようと思ったら
「お客さん、申し訳ありません。このガソリンじゃこの新車、動かないんですよ。」
「じゃ、動くガソリン入れてよ。」
「当店では扱ってないんですよ。」
「じゃ、その動くガソリンを扱っている店教えてよ。」
「もしかしたらまだそのガソリンは販売していないんじゃないでしょうか。」
普通そんなことがあったら、クレームどころの騒ぎではなくなる。ましてや販売した販売店だけでなく、その車を製造した自動車メーカーもマスコミの槍玉になるであろう。
しかし、私のいるIT業界では前述のことが、きちんと(?)まかり通っているのだ。
これはデザインやミュージックの分野ではまだまだ圧倒的なシェアを誇る、皆さんもご存知のパソコンメーカーの話である。
事の発端はそのパソコンメーカーが新しいバージョンのOSを発売したところから始まる。そのOSは新しいテクノロジーが随所で取り入れられ、それこそ今までのOSとまったく異なった性能を持っているという触れ込みで、大々的にリリースされたのであった。
しかしOSが「新しいテクノロジー」を持つということは、既存のアプリケーションがまったく使い物にならなくなる(いわゆる互換性が無い)ということを意味している。
もちろんそのパソコンメーカーもユーザーの声を無視して、そんなことが出来るはずはなく、「古いOS」と「新しいOS」のどちらかを、購入したユーザーが選択できるような仕組みにしていた。しかしそれから一年も経たないうちに、その(IT業界としては懸命な)仕組みをやめてしまい、「新しいOS」しか選択できないような機種の販売を始めたのだ。(※1)
「では古い機種を買えばいいんでしょ」
そうは問屋がおろさない。その新しいOSの搭載された「新しい機種」が販売されるということは、「古い機種」はこれから製造しない、ということでもあるのだ。したがってしばらくは「古い機種」も流通するが、いずれ「新しい機種」しかユーザーは購入できなくなってしまい、中古市場でしか手に入らなくなる。
現にその発表がされた直後から「古い機種」の中古相場は上がる一方で、一時新規購入価格より中古価格のほうが上回った時期もあった。
さて「新車」=「新しいOSの搭載された機種」という話はここまでにして、今度は「新しい車が動くガソリン」=「新しいOSに対応したソフト」の話をしよう。
デザインに欠かせないのが「フォント」である。Windowsをお使いの方はあまり知らないと思うが、その「フォント」もデザインの世界では1書体あたり数万円で購入しているのである。5書体や10書体の話ではなく、100書体200書体をマシンにインストールしているというデザイナーも結構いるのだ。その「フォント」を販売しているメーカーのホームページでは、昨年の10月末から「フォント製品の対応時期等は未定となっております。詳細が決まり次第、弊社HomePage上にてご案内いたします。」という状態が続いているのである。(3月30日現在)
要するにその「フォント」が「新しいOS」では使えないし、半年近くも「対応未定」なのである。したがってデザイナーは新しいマシンを購入しても「フォント」が使えないので、まったく仕事にならない。更に「対応がいつになるのかわからない」という状態のままなのである。
更に付け加えるなら、フォントの世界では3年ほど前に同じことがおきているのだ(※1)。その時にフォントのためだけに1台あたり数十万円の再投資を各企業は強要されている。
10人ほどの小さなデザイン会社でも百万円以上の出費になり、泣く泣く投資をしたお客様がとても多かった。
これはほぼ独占の機種(OS)メーカーと寡占状態のフォントメーカーが行っていることであり、ウィンドウズを使っている方々には対岸の火事であろうか。ウィンドウズの世界ではOSはもちろん、ワープロや表計算のアプリケーションもほぼ独占状態である
※1 最高額の機種ではいまだ旧OSも選択が出来るが、50万円以上もする。
※2 フォントの旧タイプ(OCF)の販売を停止して、新しいOSに対応した新タイプ(CID)しか購入できないということがあった
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