ITサポート、あなたは満足していますか? 2003年1月号
 

●車に乗ろうとエンジンを掛けたところ、エンジンが掛からない。仕方が無いのでカーディーラーのサービスセンターへ電話をしたところ、ボンネットを開けるように指示をされた。
普段はそんなところを開けたことも無いので、電話の指示どおりにやるのだがうまくいかない。
「プラグをはずしてください。」だ、「オイルホースの中にごみは詰まっていませんか。」だとか、
言われても何がなんだかわからない。かれこれ一時間以上もやり取りをした挙句、
「あー、エンジンの故障ですね。恐れ入ります、エンジンを交換しますので、
ここまで届けてもらえますか?」
実際そんなばかなことは無いと思うが、現実そのような対応をいまだに平気で行っている業界がある。
それが私の生業としているパソコン業界である。

●こんな経験をされた方は多いのではないだろうか。 メールやブラウザの調子がおかしい。メールを受信できたり出来なかったり、ホームページを見ているとすぐフリーズしたりする。
そこでサポートセンターに電話をする。
  「ハードディスクを初期化します。データは全て消失するのでバックアップを取って置いてください。」
 「バックアップって、そりゃ何をどうすれば良いの?」
 「作成されたファイルや、画像データ、メールアドレス帳やブックマークです。
  それらをバックアップするためのMOディスク等の記憶メディアはありますか。」
  「MOって何?フロッピーのこと?」
  「それでは小さすぎます。フロッピーですとお客様の場合100枚以上必要になります。」
  「どうすればいいんだーーー。」
 とまあ、こんな話が延々と続くのである。電話をかけたユーザー側はますます訳がわからなくなっていくのである。

●設置してもらったプリンタから自分のパソコンだけ印刷がうまく出来ない、というお電話をいただいた。
(うちはサポートを生業としています)入社2年目のK君がそのトラブルの対応をすることになった。
 「ご迷惑をおかけしております。ところでお客様が印刷される書類は、ワードの文章ですか?
 それから出来るだけ早く印刷されたい訳ですね。」
 「はい、かしこまりました。それではお手数ですがフロッピーにその書類をコピーして、
 お隣のパソコンへ持っていって、とりあえず、そちらで印刷されたらいかがでしょうか。」
しばらくして
 「はい、印刷できましたか。良かったです。ご迷惑をおかけいたしました。
  それではただ今からお伺いして、そのトラブルを解決させていただきます。」
わたしはK君の対応に感心した。
「プリンタから印刷が出来ない」とお聞きすると、すぐ
「コントロールパネルのプリンタフォルダの中の・・・」と始めてしまいがちだ。
気の利かないサポートになると
「電源が入っていますか?ケーブルが抜けていませんか?」などど、こっちは子供じゃないぞ、と思いたくなるような質問を受けることがある。
一方のK君は、お客様は「書類を印刷したい」のであって、「プリンタのトラブルを解決したい」のではないことを充分理解した上で、まず「書類を印刷」してお客様の当面の問題を解決し、そのトラブル解決は当面は必要が無いと判断し後回しにしたのである。
もちろんそのお客様はK君の対応に大変満足していただき、後日談になるが別のお客様までご紹介いただいたのである。

●居酒屋チェーンで頼んだ肉じゃがが甘すぎたとしよう。仮に店長に文句を言っても、チェーン店ではセントラルキッチンがあり一人一人の味の好みに合わせることが出来ない。
しかし常連のかさを着て店長に少し文句を言った。「申し訳ございません。私がいるときだけ、少し砂糖を抑えた肉じゃがをお出しします。ただし店が忙しかったときはダメですし、他のお店でもその味でお出しすることは出来ません。」と言われた。
 この店長は「会社の要求」と「お客の要求」を見事に両立させたのである。おそらく会社のマニュアルでは「丁重にお断り」という主旨の文章が書かれていると思う。 サポートも「それは初期化です。」なんてバサッと切らないで、もう少しこっちの気持ちを汲んでくれれば良いのにな。と思うのである。