「使い方」だけでなく、「モラル」も学ぼう、パソコンの勉強 2002年4月号
 

交通ルールやマナー、そして安全な運転の方法を学ばず、いきなり子供たちが車の運転を始めたら、これは街中が大騒ぎになるだろう。

アメリカはバージニア州のある街で公立高校の生徒に1,000台のパソコンが支給された。しばらくはおとなしかった生徒も、パソコンに慣れてくるとインターネットでポルノを見るもの、画像や動画をダウンロードしまくりネットワークを停止させるもの、挙句の果ては先生のマシンをハッキングするものまで出たらしい。
この業界に少し詳しい人ならあまり驚かないこれらの事も、この街の教育関係者をかなり慌てさせたらしい。早速全てのパソコンは回収されてしまったという。

それらの事を報じた記事のほとんどが「自由にアプリケーションをインストールさせていた事」や「プロキシサーバーを設けて閲覧するサイトに制限をかけていなかった事」「ネットワークセキュリティの脆弱性」等をこの事件の原因として取りあげていた。
これらを読んで私は「あれっ」と思った。「教育」の問題がまったく取りあげられていなかったからである。
冒頭に書いたようにもし「教育」が全くなされず、運転をさせたとしたら大問題である。もちろんパソコン支給時に基本的な「パソコン利用の際の注意点」や「フリーズ時の再起動の方法」等は行っていたと思う。しかし「ネットワークのマナー」「直接接していなくても他人に関わる重要性」等の一番大切なところが抜けていたのではないかと思う。更にその原因としておそらく教えている方も、何を教えて良いのかわからなかったのではないか。

これはあながち飛躍した想像ではない。先日中学の同窓会に顔を出し、現在教師をやっている仲間と話した時に痛感した事だ。来年度から本格的にパソコンの授業が導入される事を話題にすると、彼らのほとんどが「パソコンの授業」 イコール 「パソコンやインターネットを使った授業」としか捉えていないことがわかった。
もちろん「ホームページの作り方」とか「メールの使い方」これらを教える事は大切である。しかし何でも吸収できる純粋な時期にこそ「情報モラル教育」が必要ではないだろうか。
そこで「パソコン」を「携帯電話」に置き換えることで授業の中身を論じ合う事にした。携帯電話は彼らにとってもわかりやすいものであったらしく、「利便性」「不便なところ」「他人との関わり」「マナー」等々たくさんの話題で盛り上がったのだった。
こうして考えると現在のネットワークでのマナーの酷さや、モラルを全く無視した行動の原因がわかるような気がする。要するに教えてもらった事なんて決して無いし、教える方も何を教えて良いのかわからない。ましてや自分から気がつくように指導するなんて教育は日本では珍しいのだ。「電車内での携帯電話の使い方とマナー」なんて道徳の授業は、そんな事業は無かったと覚えの悪い私でも断言できる。

そのような教育がなされないまま彼らは社会人になる。次に学ぶ場である企業の教育はどうであろう。企業の教育は「即戦力化」「技術習得」等が目的なのは仕方が無い。最近は「企業で学んでは欲しくない」という企業も増えている。ただ今こそ企業で教える事が重要ではないだろうか。
私どもの会社に「技術的な教育、利用方法を習得する教育等」の依頼は以前から数多くいただいていた。また最近のウィルス騒動や情報管理に対する危機感から「情報セキュリティ教育」に対する依頼も多くなっている。そうした時に私どもでは必ずカリキュラムに「情報モラル」という科目を入れるようにしている。
しかし当然といえば当然だが担当者の方と打ち合わせの時に必ずといっていいほど「これ何?」と聞かれて、時には削られてしまう事もある。私もうちの会社もまだまだ勉強不足だなーなんて感じる今日この頃である。